名古屋合唱団掲示板

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テスト掲載 tetsu

2023/01/22 (Sun) 20:45:26

 字数制限などあるのでしょうか?とりあえず、イエイロのプログラム原稿として書いた原案を載せてみます。長すぎてくどいのですが、イエイロの表現の工夫に際しての手掛かりとなれば幸いです。では・・・

【プログラム原稿】2023年バージョン
 Ola Gjeilo(オラ・イエイロ)は、1978年ノルウェイに生まれ,2001年からアメリカのジュリアード音楽院で作曲を学び,ニューヨークを本拠地として活躍する、新進気鋭の作曲家です。その作風は、時代の先端を行く新しさと伝統的な落ち着きの共存とを感じさせる、独特なものです。
 その要因を考えていきますと、まず、音楽が平易な語法で造られている事が挙げられます。特に伴奏付きの曲については、親しみやすく口ずさみやすいメロディーが生かされることを、つまり人々の心に残り、いつでも口ずさめるような「歌」であることに重きが置かれているようです。しかし、それと相反する要素である、現代的なテイスト、つまり和声に関しての大胆な手法を用いているところにも特徴があります。
 また、演奏の規模という点では、ピアノを中心とした小規模な編成によるものがほとんどで、全体としてのフォルムをより簡潔にすることで、カラフルさよりもより味わい深さを追求していることが伺われます。
 次に,彼の音楽とは切っても切れない宗教的要素と、どういうわけか滲み出してくる「自然の芳香」との共存が、大きな魅力となっています。例え典礼文に作曲されたものであっても、なぜか「景色」を感じさせるのです。「十字架とろうそくの光、石造りの教会の伽藍」を越え、その外側へ・・・・湖水や天空・星々やオーロラ等、自然の風景が浮かぶ音楽の実に多いこと。その開放感・透明度・広がり・移ろいは何に由来し、なぜ混濁や苦悩、葛藤というものから遠いのか・・・実に不思議です。
そんな曲に対してのアプローチですが、譜面面(づら)的にいえば,超絶テクニックは必要としません。そういった外形的な目新しさよりもむしろ、イェイロの指向はもっと求心的な方向にあるようです。感情面でも、苦しみや悲しみのような類いのものは、曲趣にはあまり乗ってはきません。すると、歌う側としては譜面面の簡素さと併せて、歌いやすいと勘違いしてしまうのです。ところが、だからといって安易に歌ったとしても、彼の音楽の持つ希有な雰囲気を醸し出すことは到底無理なのです。
 譜面面は普通、感情的にも穏やか。なのに音楽は大自然を彷彿とさせる。これが演奏する上での難しさなのです。古いことわざに「歌うとは、再び祈ることである」とありますが、ただ歌うのではなく、祈りを込めて真摯に歌われることで、神の宿る自然の世界に近づく・・・それがイエイロの音楽への手掛かりとなる、そんな気もしてくるのです。

 ところで、本日演奏する4曲は,もともと曲集としてあったものではなく,四部構成のフォルムとなるよう,ふさわしい雰囲気を持ったものを選び、組み合わせたものです。

1【The Ground】
 「Sunrise Mass」からの一曲です。弦楽のハーモニーに包まれて,ピアノが不思議なリズムを刻みます。3/4拍子ですが「6/8+6/8+6/8+2/4拍子」に聴こえる、恐らくポリリズムを用いた前奏部分は,浮遊感と穏やかな祝福,透明な大気や広大な地平を既に描いています。「Pleni sunt caeli-」の静かな祈りの歌い出しから,関係性の薄い上方の調へ前触れなく転調する手法を何度かくり返すことで,次第に高みに上がった音楽は,「Agnus Dei-」で最高潮に達します。そして最後に「Dona nobis pacem」の祈りへと導かれます。間奏で途切れることがない一つながりの音楽は,どこまでも続く北欧の森や水,大空を埋め尽くす星や地平線まで全てを包含する「大地(The Ground)」の営みを表しているのでしょうか。

2【Across the Vast etrenal sky】
 作詞者 チャールズ・アンソニー・シルベストリ は現代の詩人です。火の鳥の伝説にインスパイアされたというこの詩は、「輪廻」を思わせるものです。
 曙をイメージさせる歌い出しから,メヌエットのように軽やかなピアノのフレーズの後,再び「日の出」のモチーフが何度か現れ,転調を繰り返し,一つの頂点に達します。かなり複雑な和音を用いていますが,流れに自然に溶け込んで複雑さを感じさせず,むしろ「彩り」となっています。それはあたかも、夜明け前から日の出に向かう一連の、山々や天空の色の変遷のようでもあります。
 最後、明るく晴れ渡った空の下,復活の言葉が穏やかに語られつつ,曲は静かに閉じていきます。

3【Evening prayer】
詩は四世紀の聖人,聖アウグスティヌスによるもので,全ての人々に天使のご加護がありますようにとの,世を憂う夕べの祈りです。無伴奏のテナーサックスに導き出された男声の朗々としたメロディーは,幾たびかめくるめく転調を繰り返すうち,他を巻き込んでさらに大きな祈りへと拡大していきます。
 続いてしばし合唱は歌詞を失い,言葉にできない思いを籠めて、ハーモニーが溢れ出します。サックスはインプロビゼイションでそれに呼応し,音楽は外の方へ,より高く,遙かな地平に向かって,世界の人々へ届けよと広がっていきます。最高潮の場面で,再び冒頭の願い「Watch oh! Lord!」が高らかに歌い上げられ,「Amen」と共に祈りは世界へ浸みわたっていくようです。

4【Dark night of the soul】
「魂の暗い夜」とはそもそも何なのでしょう?十六世紀スペインの聖人,「十字架のヨハネ」によるこの詩は、実に難解なものです。夜の持つ三つの姿、「宵」「深夜」「曙」に対応して曲は進んでいき、その全てを通り抜ける神秘体験が、この曲の源となっているようです。
 まず「2/4+3/8拍子」の急速な複合変拍子により唐突に始まります。何かにせき立てられるように疾走する様は、細かく刻まれる伴奏に由来しますが,対して混声八部合唱はクラスター気味に音を保ちます。声の急流は、夜の中に何かを追い求める切迫感に満ちています。
 続いて,急に緩徐となります。流れは急に止まり,声は深い深い淵の中へとゆっくり沈んでいきます。たどり着いたその底は「深夜」なのでしょう。
 そして,伴奏と歌との拍子がかみ合わない浮遊感に乗って,男声の叙情的なメロディーの広がりが幾度も高まりを見せ,「sheer grace(本当の恵み)」の言葉で最高潮に達します。そして,静謐な「園」にたどり着き,音楽は停止します。
 一転して,バグパイプを思わせる通奏音を底辺とした下降系のメロディーに乗って,何かが繰り返し降ってくる,神秘的な部分にかかります。ヴァイオリンのソロが甘美な彩を添えます。
 ただそれも束の間,再現部ですぐ,神秘は冒頭のテーマにかき消されます。「on that glad night!」とffで連呼しつつ,複合変拍子の急流のはるか上空で,ソプラノソロがもの悲しく舞う中,「Dark night of the soul」の歌詞の繰り返しと共に、確信に満ちた明るく平安な境地にたどり着きます。
 
 以上四曲を、指揮の三木先生、ピアノの渡辺先生、そして弦楽四重奏団○○□□とサクソニスト 山崎力愛氏をお迎えし、精一杯演奏いたします。

Re: テスト掲載 - 新しい代表より。

2023/01/22 (Sun) 23:59:03

ありがとうございます!
特に文字数など制限ないはずです。
これからのかご活用よろしくお願いします

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